2024/09/21 コラム
研修は労働時間に該当するのか?
- 研修は労働時間にあたるのか? 基本的な考え方
研修への参加が労働時間に該当するかどうかは、通常の業務と同じ基準で判断されます。労働時間とは、客観的に労働者が使用者の指揮命令下にある時間を指します。そのため、使用者の指示で研修に参加する場合、通常は労働時間として扱われます。
- 研修への参加の強制性
(1) 研修への参加が強制される場合
業務上必要かつ合理的な研修であれば、労働契約に基づく業務命令として、使用者は労働者に研修への参加を指示(強制)できます。
例:初任者研修、アルバイト研修、コンプライアンス研修、管理職研修など。
(2) 強制できない場合
業務上の必要性や合理性を欠く研修については、労働者に強制することはできません。
例:業務と無関係な内容の研修、労働者に不必要な苦痛を与える研修など。
- 研修参加拒否への対応
労働者が研修参加を拒否した場合、使用者は懲戒処分を行うことが考えられます。ただし、懲戒は慎重に行われるべきであり、合理的な理由がない場合は無効とされる可能性があります。
- 研修中の給料の取り扱い
研修が労働時間に該当する場合、通常の業務と同様に給料が支払われます。
(1) 強制参加の場合
強制参加の研修は労働時間とみなされ、給料の支払いが必要です。
(2) 任意参加と伝えた場合でも
名目上は任意参加であっても、実質的に強制と評価される場合には給料が発生します。
例:業務上必須の情報を学ぶ研修、参加しなければ不利益を受ける可能性がある研修など。
- 事例別の具体的な給料の取り扱い
(1) 研修期間中の残業
研修時間が1日10時間であれば、法定労働時間を超える部分には残業代が発生します。
(2) 入社前研修
内定者に課す研修も労働時間とみなされ、給料を支払う必要があります。
(3) 介護職員初任者研修
業務に必要な資格取得のための研修時間は労働時間とみなされ、給料が支払われるべきです。
- 給料の未払いに対するリスク
給料の未払いは、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、最悪の場合は刑事罰を受ける可能性があります。
労働問題のトラブルは、労働問題に強い弁護士事務所へご相談下さい。