2024/09/21 コラム
解雇が出来る場合と出来ない場合
1. 解雇とは
「解雇」とは、会社が従業員との労働契約を一方的に解除することです。適法に解雇が行われた場合、労働契約は終了します。
(1)解雇について
解雇には3つの種類があります
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懲戒解雇
従業員の重大な違反行為に対して、最も重い処分として行う解雇です。 -
整理解雇
業績悪化による人員削減を目的とする解雇です。 -
普通解雇
懲戒解雇や整理解雇以外の解雇です。
解雇の種類ごとに条件が異なるため、適法に解雇を行うためには、それぞれの条件を満たす必要があります。
(2)解雇と退職勧奨の違い
解雇は会社が一方的に労働契約を解除するのに対し、「退職勧奨」は会社が従業員に退職を促すものです。退職勧奨は従業員が拒否することもできますが、解雇は従業員の同意がなくても労働契約が終了します。
2. 解雇を適法に行うための条件
解雇を適法に行うには、解雇の種類に応じた条件を満たす必要があります。
(1)懲戒解雇の場合
従業員が就業規則に定められた重大な違反行為(懲戒事由)を行った場合に行えます。
(2)整理解雇の場合
以下の4つの条件を満たす必要があります
- 経営危機があること。
- 解雇を避けるための努力(給与カット、希望退職募集など)が行われたこと。
- 解雇対象者の選定が合理的であること。
- 労働者や労働組合に対して事前に説明を行ったこと。
- (3)普通解雇の場合
労働契約や就業規則に定められた解雇事由に該当することが必要です(例:病気による労働不能、能力不足など)。
(4)全ての解雇に共通する点
「解雇権の濫用」に当たらないことが必要です。合理的な理由がなく、社会通念に反する解雇は違法とされます。
3. 不当解雇のリスク
会社が不当解雇を行った場合、以下のリスクがあります:
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労働者の復職義務
解雇が無効となり、会社は労働者を復職させなければなりません。 -
多額の解決金や未払い賃金の支払い
労働者と和解するために多額の解決金(通常、賃金の6ヶ月〜1年分)を支払う必要がある場合があります。また、未払い賃金の支払い義務も発生します。
4. 認められやすい解雇・認められにくい解雇
(1)認められやすい解雇の例
- 懲戒解雇:重大な犯罪行為、会社の資金横領など
- 整理解雇:会社が倒産の危機にある場合
- 普通解雇:繰り返される重大なミスや労働不能な病気やケガ
- (2)認められにくい解雇の例
- 無断欠勤が一度だけなど、軽微な違反行為
- 整理解雇で合理的な選定が行われていない場合
- 結婚や妊娠、出産を理由とした解雇
5. 解雇の手続きと検討の手順
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解雇要件の確認
解雇の種類に応じた要件を満たしているかを確認します。 -
解雇予告の通知
解雇日から30日以上前に従業員に解雇予告通知を交付します。予告しない場合は、解雇予告手当が必要です。 -
解雇の実行
解雇予告で通知した日付に労働契約が終了します。 -
退職手続きの完了
社会保険の脱退や源泉徴収票の交付などを行います。
解雇の問題は無効と評価されやすい労働問題の一つです。