2024/09/15 コラム
産業財産権とその係争
産業財産権(工業所有権)とは、企業の技術・デザイン・ブランドなどを守るためのものです。
産業財産権とは、知的財産権のカテゴリーの1つであり次の4つからなります。
①特許権 新規かつ高度な技術的発明を保護する権利。 ②実用新案権 特許権に至らない程度の権利。 ③意匠権 独創性を持ったデザインを保護する権利。 ④商標権 商品・サービスを区別するためのマークを保護する権利
産業財産権の有名な判例としては、最高裁平成19年11月8日第一小法廷判決があります。
特許製品であるプリンター用インクタンクのリサイクルを行い販売する行為について、特許権侵害の有無が争われました。
A社は、当該製品を発明し、該当製品の製造販売を行う、特許権を持つ企業です。これに対してB社は、使用済みの当該製品を輸入し、タンク内部を洗浄し、インクを入れ替えたうえで、日本国内において販売しました。そこでA社が、当該特許製品の使用済みタンクを利用したリサイクル品の販売などの販売差し止め、および廃棄を請求したものです。
しかしB社は、使用済みのタンクはもはやA社の特許権が及ばない旨を主張し、一審ではA社の主張が認められました(平成16年12月8日東京地裁判決)。しかし、控訴審となる知的財産高裁では一審の判決を覆し、特許発明の本質的部分を構成する部分の一部または交換がされた場合、特許権は消尽しないため、A社はB社の特許権を侵害していたことを認めました(知財高裁判決平成18年1月31日)。
特許権、実用審判権、意匠権、商標権のいずれもが、届出を必要とする権利であり、そのため、強い権利保障を受けられます。
これらの権利侵害に関し、お困りでしたら、当事務所へお気軽にご相談下さい。