2024/09/15 コラム
意匠権とは
意匠権は、デザインを保護することを目的とした権利です。
商品や建物などのデザインを生み出した人の出願に応じて、「意匠権」が認められ、無断での模倣の禁止により、デザインによる利益が保護されます。
意匠権とはデザインに対する保護で、イメージしやすいものとしては、家電や家具、店舗の内装や外装、webページのデザイン、スマートフォンの画面配置などです。
意匠権の登録要件としては、
① 工業上の利用可能性
デザインをビジネス上利用することにより、経済的利益を得られる可能性があることが必要です(意匠法第3条第1項)。
② 新規性
出願前にすでに存在する意匠(公知意匠)の中に、同一または類似した意匠が存在しないことが必要です(同項各号参照)。
③ 創作の非容易性 当業者(意匠の属する分野において通常の知識を有する者。同じような事業を営む他の業者など)が容易に生み出すことのできない程度に、独創性のあるデザインであることが必要です(同条第2項参照)。
④ 不登録事由に該当しないこと(下記のもの)
- 公序良俗を害するおそれがある意匠
- 他人の業務に係る物品、建築物または画像と混同するおそれがある意匠
- 物品の機能、建築物の用途または画像の用途にとって不可欠な形状、表示のみからなる意匠
- 意匠権として保護される場合、どの程度まで保護されるかが重要となります。
- (1) 「要部」の同一性・類似性 知財高裁平成23年3月28日判決(平成22年(ネ)第10014号)では、デザインのうち、もっとも注意を惹きやすい部分を意匠の要部として把握し、要部について共通性があるかを観察することがポイントであると指摘しています。
つまり、そのデザインたらしめている要素は何かということを、比較対象となる2つのデザイン双方について特定したうえで、その要素が似ているかどうかを検討することが重要になります。 - (2) 比較対象
- 最終的には全体比較によって意匠権侵害の有無を判断する必要性があります。
その際に目安となるのは、「要部の類似性から受ける印象と、他の部分の差異から受ける印象のどちらが上回っているか」という点です。 たとえば要部がかなり似ていて、それ以外の部分に細かい違いがあるにすぎないという程度の場合には、意匠全体としては類似性が肯定され、意匠権侵害に当たる可能性が高いでしょう。
一方、要部はある程度似ているものの、それ以外の部分が全く異なっており、全体的に見ると似ているという印象はあまり受けないという場合には、意匠権侵害に当たらないと判断される見込みが大きくなります。
意匠権の侵害により、困られている企業の方は、当弁護士事務所へお気軽にご相談下さい。