2024/09/16 コラム
下請法や親会社の義務は?
下請法では、具体的にはどのような行為が下請法違反となるのか。また、下請法違反となる行為を受けた場合にはどのような対応ができるのかを考えてみましょう。
【親事業者の4つの義務】
(1)書面の交付義務 契約内容を口頭ではなく、書面で作成する義務があります。
(2)書類の作成、保存義務 下請けに関する一定の事実関係を記載した書面を2年間保存する義務。
(3)下請代金の支払期日を定める義務 下請事業者の給付を受領した日から起算して60日の期間内(かつ、できる 限り短い期間内)にて定めなければなりません。
(4)遅延利息の支払義務 給付受領日から起算して60日を経過した日から支払をする日まで、公正取引委員会規則で定める率(年14.6%)の遅延利息を
【親事業者の禁止義務】
(1)受領拒否の禁止(1項1号)
(2)下請代金の支払遅延の禁止(1項2号)
(3)下請代金の減額の禁止(1項3号)
(4)返品の禁止(1項4号) 親事業者が、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、給付を受けた物を返品することは禁止されます。下請代金の不当な減額を禁止するための規定です。
(5)買い叩きの禁止(1項5号) 親事業者が、下請事業者の給付内容と同種・類似の給付に通常支払われる対価と比べ、著しく低い下請代金の額を不当に定めることは禁止されます。
(6)購入・利用強制の禁止(1項6号)
(7)報復措置の禁止(1項7号)
(8)有償支給原材料の対価の早期決済の禁止(2項1号)親事業者が、有償で下請事業者に値して支給した原材料等の代金を、下請代金支払期日よりも早い時期に支払わせることは禁止されます。
(9)割引困難な手形の交付の禁止(2項2号)
(10)不当な経済上の利益の提供要請の禁止(2項3号)
(11)不当な給付内容の変更。やり直しの禁止(2項4号)親事業者が、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、給付内容を変更させ、又は給付受領後に給付をやり直させることは禁止されます。通報した下請事業者に対し、取引を停止するなどの不利益な取扱いを取ることは禁止されます。内容を変更させ、又は給付受領後に給付をやり直させることは禁止されます。
親事業者に下請法違反をされた場合の対処方法
親事業者に下請法違反をされた場合には、まずは公正取引委員会・中小企業庁に通報・告発することが考えられます。下請法違反行為をする親事業者は、下請事業者との関係では優位な立場にあることが多いため、直接下請事業者から違反行為を指摘したとしても、その是正がなされないことが大半です。
このため、むしろ親事業者への立入検査権限、勧告・公表権限を持っている公正取引委員会に対して通報・告発をすることが有用です。これにより、親事業者の行為を抑止することが期待できます。
とはいえ、そもそも親事業者の行為が下請法違反に違反するのかどうか判断することは難しいといえます。また、親事業者の行為を止めずに当該親事業者との取引をやめることとなったから、これによって生じた損害の賠償を求めたいといったケースもあります。
このような場合には、ご自身の信頼できる弁護士にご相談をいただき、親事業者の行為が下請法違反行為といえるか、また、これによる損害賠償請求が可能かどうかといった点についてのアドバイスを受けると良いでしょう。
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