コラム

2024/09/17 コラム

インターネットの風評被害の対応方法1

インターネット上は、無記名なため、法律上の名誉毀損に該当するような悪質な投稿が見受けられます。

悪意を持って他人の評価を貶め、他者の権利を侵害するよう投稿は多く、こうした無責任な投稿者に対する対抗手段の一つが名誉毀損を理由とする損害賠償請求です。

しかし、賠償請求を行うには、まず発信者が誰なのかを特定する必要があります。

発信者情報の開示手続を行う前提として、悪質な書込みがどのサイトのどのページでされているかということがはっきりしていなければなりません。

該当する表現を見つけた被害者は、まず、そのページのurlとともに該当表現部分をスクリーンショットするなどして、問題の投稿がインターネットのどこでされているのかを具体的に明らかにするための証拠を残しておくことが必要です。

SNSや「まとめサイト」など、記事が投稿されたサイトの管理者は、投稿者の住所や氏名等の情報を保有していないのが一般的です。

これは、これらのサイトが無料で使用出来ることが大半であることに起因します。

そのため、投稿者を特定するためには、まず、投稿に使用された「IPアドレス」や「タイムスタンプ」というものの開示をサイト管理者から受ける必要があります。このサイト管理者は、「コンテンツプロバイダ」とも呼ばれています。

発信者情報請求は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(いわゆるプロバイダ責任制限法)が根拠法令となります。

コンテンツプロバイダからIPアドレス等の開示を受けることができた場合には、次に、「インターネット接続プロバイダ」という別のプロバイダに対して、このIPアドレスやタイムスタンプを基に、当該時間、当該サイトに接続した契約者の氏名及び住所の開示を求めることになります。インターネット接続プロバイダは、大半が定額のサービス利用料を利用者に請求していることから、利用者の住所や氏名等の個人情報を保有しています。

この開示請求の方法としては、①「発信者情報請求書」という書面を用いて任意に行うこともありますが、契約者の同意が必要であることから、実効性が乏しいといえます。そのため、通常は、②訴訟手続によって、インターネット接続プロバイダへ契約者の氏名及び住所の開示を求めることになります。

前述のように従前は、裁判上の手続を2つ経なければ投稿者の情報を得ることができませんでした。

しかし、プロバイダ責任制限法の改正により新たな手続が創設されました。これによりこれまで2つの裁判上の手続が必要であったものが、1つの手続で投稿者の特定を実現することができるようになりました。なお、既存の手続も行うことは可能ですが、あまり実益がありません。

 

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