2024/09/21 コラム
商標権とその侵害について
1 商標権とは?
「商標権」とは、事業者が自社の商品やサービスを表すために使用する文字・ロゴ・マークなどにつき、独占的かつ排他的な使用を認める権利です。
いわば、自社商品やサービスのデザインに関する権利と言えます。
例えば有名人や著名な商品などが有する権利として、商標権が挙げられます。
商標権者は、指定商品または指定役務について、登録した商標を独占的に使用できます(独占権、商標法第25条)。
また、他社による登録商標と類似した商標の使用や、指定商品または指定役務と類似した商品・役務に関する登録商標の使用などを発見した場合は、商標権侵害として差し止めなどを請求可能です(排他権または禁止権、同法第37条)。
商標権によって保護された文字・ロゴ・マークなどを使用すれば、自社の商品やサービス(デザイン)を他社のものから差別化することができます。
なお、有名人については、その芸名などが商標登録されるケースがあります。
商標権の有効期間は、設定登録の日から10年間です(同法19条1項)。
有効期間が満了する度に、同じく10年間の更新が認められています。
2 商標権の侵害について 商標権侵害が成立するのは、以下の要件をすべて満たす場合です。 ① 問題となる商標が登録されていること ② 侵害行為が、商標権者の独占権または排他権に抵触すること<独占権に抵触する行為(商標法第25条)> 指定商品または指定役務で、登録商標と同一の商標を、商標権者に無断で使用する行為<排他権に抵触する行為(商標法第37条)>
③指定商品または指定役務で、登録商標に類似する商標を、商標権者に無断で使用する行為指定商品または指定役務に類似する商品または役務で、登録商標を商標権者に無断で使用する行為指定商品または指定役務に類似する商品または役務で、登録商標に類似する商標を商標権者に無断で使用する行為 ④ 侵害行為が商標的使用に当たること 商標の使用が、需要者に対して商標権者の商品やサービスであることを認識させる目的で行われていない場合は、商標権侵害に当たりません(商標法第26条第1項)。 たとえば、商標登録されている有名人の芸名を、別の有名人が芸名として使用した場合は商標権侵害に当たります。
3、商標権を侵害された場合の対応 商標権を侵害された場合は、侵害者に対して差止請求や損害賠償請求を行うことができます。また、商標権侵害については、商標法違反による刑事告訴を行うことも考えられます。
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差止請求・損害賠償請求(交渉解決) 商標権を侵害され、または侵害されるおそれがある場合は、侵害行為の停止または予防を請求可能です(商標法第36条第1項)。加えて、侵害行為の組成物の廃棄や侵害行為に供した設備の除却など、侵害の予防に必要な行為も併せて請求できます(同条第2項)。 また、商標権侵害によって何らかの損害を被った場合は、侵害者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます(民法第709条)。
まずは交渉により、これらの権利侵害を止めるようにしましょう。 - 法的解決
協議で解決に至らない場合には、法的手続きによって差止めや損害賠償を請求することになります。差止請求については裁判所に対する仮処分の申立て、損害賠償請求については訴訟を提起することが考えられます。 -
刑事告訴 他人の商標権を侵害した者には、以下の刑事罰が科されます。
① 独占権侵害
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科(商標法第78条)② 排他権侵害
5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科(商標法第78条の2)商標権を侵害された商標権者は、侵害者の処罰を求めるため、検察官または司法警察員(警察官)に対して刑事告訴をすることができます(刑事訴訟法第230条)。