2024/09/21 コラム
ステルスマーケティングの規制について
令和5年10月1日からのステマ(ステルスマーケティング)規制について
令和5年10月1日より、ステルスマーケティング(通称ステマ)が景品表示法の規制対象となりました。ステマの基本的な概要や、どのようなケースが規制対象となるか、違反時に科されるペナルティについて解説します。ステマに関する知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。
1. ステマ(ステルスマーケティング)とは?
「ステルスマーケティング」の「ステルス」は「隠密」や「こっそり行う」という意味です。つまり、ステマとは消費者に対して広告であることを知らせずに行う宣伝活動を指します。消費者からの信頼を得やすい特徴がありますが、発覚時には反発や炎上を招くことがあり、関係者全体の信用を損なうリスクがあります。
ステマの種類
ステマには主に「なりすまし型」と「利益提供型」の2つのタイプがあります。
- なりすまし型: 事業者が一般の第三者に成りすまし、口コミやレビューで自社の製品やサービスを好意的に紹介する行為。
- 利益提供型: インフルエンサーや芸能人に報酬を支払い、SNSやブログで宣伝であることを隠して商品やサービスを紹介してもらう行為。
たとえば、平成24年の「ペニーオークション詐欺事件」では、利益提供型のステマが多くの消費者に被害をもたらしました。実際には落札できないオークションサイトを宣伝したことで、信頼を得た消費者が被害に遭いました。
2. ステマの規制について
(1) 規制が導入された背景
令和5年10月1日から、ステマを行う事業者は景品表示法違反としてペナルティを受けることになりました。景品表示法は、事業者が商品やサービスを宣伝する際のルールを定めています。これまで、ステマが品質を誇張しない限り不当表示に該当しなかったものの、消費者の判断を誤らせる印象操作が悪質であるとの認識から、規制が強化されました。
(2) 規制内容
ステマの規制対象は「一般消費者が事業者の表示であることを判別するのが困難な表示」です。これに基づき、消費者庁が運用基準を策定しています。なりすまし型や利益提供型の投稿を行った事業者はペナルティの対象となります。また、ネット上に残っている過去の投稿も規制対象となります。ただし、事業者が表示内容に関与していない場合はステマと見なされません。
3. 景品表示法違反に伴うペナルティと防止策
(1) 違反となるケースとペナルティ
商品やサービスの関係者が情報を発信する際、さまざまなケースでステマに該当する可能性があります。販売員が自社商品を匿名で宣伝したり、好意的な評価を見返り付きで促す行為は違反となります。景品表示法違反と認定されると、消費者庁から措置命令が下され、従わない場合は刑事罰や民事上の賠償請求の対象となる可能性があります。
(2) ステマ規制に違反しないための対策
デジタルマーケティングにおいては、広告であることを明示することが重要です。広告目的のコンテンツには明確に広告表示を行い、過去の投稿についても注意が必要です。従業員や関係者の投稿に関するルールを策定し、ガイドラインを設けることも効果的です。
法律に関する判断が難しい場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。顧問弁護士を置くことで、過去の投稿や今後の広告が合法であるかを判断し、適切な運用方法を相談できます。
ステマ規制は既に施行されていますので、適切な対策を講じることが求められます。
自社のデジタルマーケティングが合法か不安な場合は、早めに専門家に相談してください。