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2024/09/21 コラム

偽装請負の注意点

偽装請負に関する注意点

業務を外部業者に委託する際には、「偽装請負」に注意が必要です。偽装請負が認定されると、罰則が科されるリスクがあります。そのため、委託企業は偽装請負に該当する状態を理解し、回避することが重要です。今回は典型的な偽装請負のケースと、それを防ぐための対策について解説します。

1. 偽装請負とは

偽装請負とは、形式上は請負契約(業務委託契約)であっても、その実態が労働者派遣や労働者供給に該当するものを指します。労働者派遣法に基づく許可を受けていないため、偽装請負は法令違反となります。また、職業安定法に抵触する恐れもあり、労働基準法が禁止する中間搾取にも関わる可能性があります。

(1) 偽装請負の典型例

以下は、偽装請負に該当する典型的なケースです。

  • 代表型: 発注者が業務の細かい指示や勤務時間の管理を行う。
  • 形式だけ責任者型: 形式上の責任者がいるが、実質的には発注者が指示を出している。
  • 使用者不明型: 下請けが多層化し、労働者が誰に雇われているか不明になる。
  • 一人請負型: 労働者との間で雇用契約ではなく請負契約を結び、発注者の指揮命令下で働かせる。

2. 偽装請負の判断基準

偽装請負が適法かどうかは、厚生労働省が示す基準に基づき判断されます。以下の要件を満たす必要があります。

  1. 業務の指示を受託者が自ら行っている。
  2. 業務の評価を受託者が自ら行っている。
  3. 労働時間の指示を受託者が自ら行っている。
  4. 残業・休日出勤の指示を受託者が自ら行っている。
  5. 服務規律の指示を受託者が自ら行っている。
  6. 労働者の配置の決定を受託者が自ら行っている。
  7. 業務に要する資金を受託者が自ら調達している。
  8. 受託者が事業主としての法律に基づく責任を負っている。
  9. 業務内容が単なる肉体労働でない。
  10. 受託者が必要な設備を自ら調達している。
  11. 受託者が自らの責任で業務を処理している。

3. 偽装請負による法律違反を防ぐための対策

(1) 請負契約の理解

偽装請負を避けるためには、請負契約や業務委託契約を正しく理解することが必要です。社員教育や職場環境の整備を行い、発注元が請負会社の労働者に直接指示を出さないようにすることが重要です。

(2) 契約内容の明確化

請負契約の内容を詳細に規定し、仕様書や変更手続きについても明確にすることで、直接的な指示や命令を避けることができます。

(3) 業務実態のヒアリング

経営陣の理解と現場の実態が異なることもあるため、定期的に現場担当者にヒアリングを行い、偽装請負の状態になっていないか確認することが重要です。

これらの対策を講じることで、偽装請負による法律違反のリスクを低減できます。企業の実情に合わせた具体的な対策を検討する際は、専門家である弁護士相談することをお勧めします

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