2024/09/21 コラム
円滑な事業承継に必要なこと
事業承継とは
長年続けてきた事業を次世代に良い形で引き継ぐことは、多くの経営者にとって大切なテーマです。
「賢い事業承継」とは、次代への適切なバトンの渡し方とも言えます。
事業承継に正解はないため、外部人材の招聘も視野に入れ、早期からの準備が求められます。
「賢い」という言葉が節税や費用に焦点を当てることがありますが、最終的な目標は「円滑な事業承継」であることを忘れてはいけません。
仮に節税対策が成功しても、後継者が不在となり廃業に至るようなことがあれば、それは大きな失敗と言えるでしょう。
主な事業承継対策
事業承継に関する主な対策は以下の5つです。
- 後継者対策
- 信用対策
- 従業員対策
- 株式譲渡・納税資金対策
- 相続対策
これらの対策を進めるためには、まず後継者対策として事業承継計画を策定することが不可欠です。
計画なしで対策を講じるのは、羅針盤なしで大海を航海するような無謀な行為です。後継者を親族から選ぶか、外部から招聘するかは、オーナーの「思い」に基づきます。また、中小企業では、後継者の代替わり時における「信用力」も大きな不安要素です。特に金融機関は新しい経営者がどのような人物かに注目しているため、コミュニケーションを怠ると信用不安を招くリスクがあります。
事業承継計画の策定方法
事業承継に取り組む前に、まずは事業承継計画を策定する必要があります。この計画は「経営政策上」の問題でもあり、企業の将来像をどのように描くかが重要です。将来のイメージは、経営者の主観だけでなく、専門家や従業員の意見など多様な視点から形成されます。また、事業承継は経営者以外の第三者にも影響を及ぼすため、関係者への配慮も重要です。経営政策の決定は、できるだけ早く、理想的には承継の5〜10年前から行うことが望ましいです。
相続対策について
相続対策は相続税対策だけでなく、相続発生時のさまざまな金銭的問題を考慮する必要があります。主な課題は、相続税と「遺留分」に関連する問題です。中小企業経営承継円滑化法に基づく支援策があり、相続税については納税猶予制度も整備されています。さらに、2018年の民法改正により遺留分の権利保護が強化されています。贈与株式を遺留分算定基礎から除外する条件も整備されています。
まとめ
中小企業の経営者は事業承継を後回しにしがちですが、将来的に廃業を考えない限り、早期の準備が不可欠です。内容が複雑なため、どこから手を付けるか迷うことも多いでしょう。その場合は、弁護士などの専門家に相談することが推奨されます。