- 産業財産権の基礎知識
まず、産業財産権の基本的な概要を押さえておきましょう。
(1)産業財産権とは?
産業財産権は、知的財産権の一部で、技術、デザイン、ネーミング(ブランド)に関する独占的な権利です。著作権とは異なり、産業財産権は技術革新や商業活動に密接に関連し、その模倣を防ぐことで産業の成長や研究開発を促します。
(2)4つの主要な産業財産権
日本の法律で定められている産業財産権は、以下の4種類に分類されます。
- 特許権:自然法則を応用した新しい技術的発明を保護します。
- 実用新案権:特許権に至らない技術を保護するための権利です。
- 意匠権:独創的なデザインを保護する権利です。
- 商標権:商品やサービスを識別するためのマークや名称を保護します。
- 産業財産権を取得する理由とその活用法
産業財産権を正しく取得・活用することで、自社の利益を守り、増大させることができます。
(1)盗用の防止
産業財産権を取得することで、第三者による技術やデザイン、ブランドの無断使用を防ぐことができます。権利を侵害された場合、損害賠償や差し止めを請求することが可能です。
(2)ライセンス契約で収益を生む
自社が保有する産業財産権を他社にライセンス供与することで、ライセンス料という形で収益化が可能です。
- 産業財産権に関するトラブル事例
(1)切り餅特許権侵害事件
A社は、切り餅の側面に切り込みを入れる特許技術を保有していましたが、B社が別の箇所に切り込みを入れた製品を販売。最終的に、裁判所はB社の行為が特許侵害であると判断し、8億円の損害賠償を命じました。
(2)特許製品のリサイクル品を巡る特許権侵害事件
C社が特許を持つインクタンクをD社がリサイクルして販売した件で、裁判所はD社が特許権を侵害していると認定しました。
(3)iPad商標権侵害事件
中国のE社が「iPad」の商標権を2000年に取得しており、アップル社がその名称を無断使用したとして訴訟を起こしました。最終的に約48億円で和解が成立しています。
- 産業財産権トラブルを避けるための対策
トラブルを未然に防ぐための重要なポイントを紹介します。
(1)権利の出願・登録を徹底する
産業財産権は出願・登録をしなければ効力が発生しません。また、先願主義が採用されているため、競合他社よりも早く出願することが大切です。
(2)顧問弁護士との連携
新規事業や商品開発において、他社の権利を侵害しないために、事前に顧問弁護士のチェックを受けることが推奨されます。
(3)トラブル発生時には迅速な対応
もし他社から産業財産権の侵害を指摘された場合は、速やかに弁護士に依頼し、訴訟に向けた準備を進めることが重要です。
- まとめ
産業財産権の適切な管理と活用は、企業の競争力を高め、トラブルを防ぐために不可欠です。専門家のサポートを受けながら、権利をしっかりと守っていきましょう。