2024/09/21 コラム
親族外事業承継|第三者への事業承継
親族外承継とは?
「親族外承継」とは、企業の経営権を親族ではない第三者に譲渡することを指し、近年、中小企業の間で注目が集まっています。
1. 親族外への経営権移譲
通常、中小企業では親族、特に子供が経営を引き継ぐことが一般的です。しかし、親族がいない、または継ぐ意思や能力がない場合、従業員や外部の経営者に経営権を譲渡するケースが増加しています。
2. 後継者不足の背景
少子高齢化やキャリアの多様化に伴い、親族に事業を継承させることが難しくなっています。さらに、経営者自身が親族を後継者として適任と考えないこともあり、親族外承継を選択する企業が増えています。
親族外承継の方法
親族外承継には、主に「経営者の交代のみ」と「株式の譲渡を伴う方法」の2つの選択肢があります。
1. 経営者の交代のみ
経営者のみを親族外の人物に交代させ、株式はオーナーが保有する方法です。この場合、オーナーは株主として会社に影響を与え続けつつ、経営の実務からは退くことができます。
2. 株式の譲渡
経営権と共に株式も後継者に譲渡し、オーナーが完全に引退する方法です。後継者が株式を保有し、会社の全体的な経営を引き継ぎます。
親族外承継の株式譲渡のプロセス
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後継者の選定
会社の役員や従業員、または外部から適任な後継者を選定します。特に、社内から選ぶ場合にはMBO(マネジメント・バイアウト)が有効な手段です。 -
株式譲渡の条件交渉
株式の譲渡価格や従業員の雇用条件など、後継者との間で交渉を行います。株式の評価は企業の財務状況に基づいて行います。 -
株式譲渡契約の締結
交渉がまとまれば、株式譲渡契約を締結し、合意された条件を契約書に明記します。 -
株式譲渡の実行と名簿変更
株主名簿の書き換えなど、必要な法的手続きを経て株式譲渡が実行されます。非公開会社では、株主総会での承認が必要となる場合があります。
親族外承継のメリット・デメリット
メリット
親族外承継の最大のメリットは、後継者選びの選択肢が広がることです。親族に限定されないため、企業の成長を託せる適任者を見つけやすく、事業の発展につなげやすいです。
デメリット
一方で、後継者の資質や信頼性を十分に評価できないリスクがあります。また、後継者が株式を譲り受けるための資金を調達する必要があり、経営者保証の引き継ぎが問題になる場合もあります。
まとめ
親族外承継には多くのメリットがある一方で、リスクも伴います。将来の企業の安定と成長を見据え、慎重な検討と準備が求められます。